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神戸大学

神戸大学は、本プログラムにおいて、革新的高機能膜の創出とその水処理システムを実用化・事業化するための研究開発を実施いたします。膜処理で大きな問題となる膜ファウリングには、膜の相界面構造や相界面特性が大きく影響します。そこで我々は、以下図のような繰り返し研究サイクルを通じて、膜の相界面構造と相界面特性が高度に制御された革新的高機能膜を開発致します。また低エネルギー水処理技術や汚染水浄化濃縮技術といった、関連するプロセス技術の開発にも取り組み、革新的水処理プロセスの確立を目指します。

革新的多孔膜の創出イメージ

1. 膜ファウリング抑制のための微細構造の最適化(相界面構造制御) (H24~28年度)

膜ファウリングを有効に抑制するためには膜の微細構造制御は大変重要で す。ここでは膜構造形成過程の詳細な検討や、3次元細孔構造の計測を通じて、多孔膜の構造制御に関する学理の確立を目指します。また様々な高分子材料について、熱誘起相分離(TIPS)法や非溶媒誘起相分離(NIPS)法を用いて種々の構造を有する中空糸 膜を作製し、膜構造と膜ファウリングの相関解明について検討を行います。

2. 膜ファウリング抑制のための膜表面特性の改質および制御(相界面特性制御) (H24~28年度)

膜ファウリングの抑制には膜構造に加え、膜表面と膜汚染物質との相互作用が重要な因子となります。ここではグラフト重合法やLayer-by-layer法といった膜コーティング法、および低膜ファウリング物質のブレンドによる表面改質制御技術を確立し、耐ファウリング性能を有する高機能性膜を開発します。

3. フォワードオスモシス膜(FO)を用いた水処理プロセスの開発 (H24~28年度)

近年、逆浸透(RO)膜に代わる高度水処理法として、正浸透(FO)膜ろ過法が注目を集めています。FO膜ろ過においては、溶液間の浸透圧差を駆動力として自発的に水を透過させることができることから、膜ろ過自体には駆動力を必要としません。その結果、RO膜ろ過において問題となっているポンプの動力を大幅に削減できる可能性を持っています。また、浸透圧差に起因するエネルギーを電気エネルギーに変換する浸透圧発電も、近年世界各国で開発が活発化しています。本研究においては、FO膜ろ過プロセスでの利用を念頭に置いた膜の開発を進めると同時に、FO膜ろ過プロセスの長所を最大限活用できる水処理システムを開発致します。

フォワードオスモシス膜(FO)を用いた水処理プロセスの開発イメージ

4. 省エネルギー水処理プロセスの開発 (H24~28年度)

膜を用いた水処理プロセスを産業界において広範囲に適用するためには、膜ファウリングによるろ過抵抗の増大が起こりにくい耐ファウリング膜の開発に加えて、排水中のファウリング物質を詳細に検討することにより、ランニングコストを低減させた安定的で省エネルギーな運転プロセスを開発することが重要です。すなわち運転条件の面からの水処理プロセスの最適化は、新規膜開発と同様に非常に重要な研究課題と言えます。
ここでは、耐ファウリング性を有する新規水処理膜の開発、および膜性能に対する排水水質とろ過条件の影響の解明を進めています。

省エネルギー水処理プロセスの開発イメージ

5. 正浸透(Forward Osmosis; FO)膜法による水処理技術の開発 (H29年度~)

近年、次世代の水処理技術として正浸透(Forward Osmosis; FO)膜法が注目されています。FO膜法は、溶液間の浸透圧差を駆動力として自発的に水を透過させることができることから、省エネルギー的な水処理システムの構築が可能です。現在、海水淡水化等に広く用いられている逆浸透(Reverse Osmosis; RO)膜法より、さらに省エネルギーな水処理を行える可能性が期待されています。また、海水淡水化に限らず、廃水の減容化、製品の濃縮といった広範な水処理プロセスへの適用にも可能性を持っています。さらに、FO膜法を利用して、浸透圧差に起因するエネルギーを電気エネルギーに変換する浸透圧発電(Pressure Retarded Osmosis; PRO)も、近年世界各国で開発が活発化しています。本研究においては、FO膜法による水処理技術の実用化に向けて、正浸透駆動に適したFO膜の開発、水と分離再生が容易なDSの開発を進めると同時に、FO膜法の長所を最大限活用できる水処理技術を開発します。

6. 革新膜開発のための微細構造の最適化に関する基礎学理の構築 (H29年度~)

本研究テーマではこれまで、水処理用多孔膜の相界面微細構造制御技術の構築をコンセプトとして、耐ファウリング性を発現するための膜設計の指針を明らかにしてきました。この研究により、親水性基や双性イオン基の膜表面への導入、あるいはこれらの成分を持つ材料の複合化などがファウリングの抑制に有効であることを明らかにしました。本研究では次のステージとして、中空糸膜製造とその膜モジュール化からモデルファウリング物質や実河川水などを用いた評価系までをベンチスケールで実施できるように整備を行い、実用化レベルにある耐ファウリング素材を用いた開発膜と従来膜との比較試験の実証等を進めていきます。

7. 膜ファウリング原因物資の解明とその制御技術の開発  (H29年度~)

膜ファウリングの抑制のためには、主要ファウラント物質の解明及びその特性を知ることは極めて重要です。ここでは、最新の微量溶解性有機物測定装置(LC-OCD、EEM等)を用いて、これまで解明できなかったファウリング物質の解析を行い、ファウリング原因物質を明らかにします。また、ファウリング原因物質を除去するための前処理技術についてその効果およびメカニズムを検討し、膜ファウリングの発生を抑制できる運転方法の開発に取り組みます。